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神経系トレーニング

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神経系トレーニングでパフォーマンス改善

アスリートのための神経系トレーニングとは

瞬発力を向上させる神経系トレーニング!

アスリートのための神経系トレーニングとは

神経系トレーニングは、スポーツ時のスピードやパワーを向上させるためのトレーニングです。よく運動ができる人を指して、「あいつは運動神経/反射神経がいい」ということがあります。スポーツにおいて運動神経や反射神経とは一体なんなのでしょうか?結論から言ってしまえば、反射神経や運動神経という神経は体には存在していません。

では、神経系トレーニングとは、一体どんなトレーニングなのでしょうか? 神経系トレーニングとは、筋肉が伸張する速度(筋収縮速度)の向上を目的としたトレーニングです。簡単に言ってしまえば、神経系トレーニングとは「神経から筋肉」「筋肉から神経」への伝達スピードを高めることで瞬発力を向上させるトレーニングです。

神経系トレーニングの一つSAQトレーニング

神経系トレーニングと聞いてもイメージが沸きにくい方もいるかもしれません。まずは、神経系トレーニングとして用いられている事例としてSAQトレーニングを例に神経系トレーニングについて説明してみましょう。

SAQトレーニングとは、Speed、Ability、Quicknessの頭文字をとったトレーニングで1980年代後半からアメリカで始まったトレーニング方法です。

SAQトレーニングは従来の筋力トレーニングとは異なり、動作技術を重視したトレーニングです。場面に応じて必要とされるスピードを考え、それに応じた動作を行うことを重視したSAQトレーニングにはラダートレーニング、ミニハードルトレーニング、バイパートレーニングなどがあります。中でもラダートレーニングはバスケットボール競技における敏捷性を高めるトレーニングとして有効です。その理由には次のようなものがあります。

当時のアメリカでは,筋力トレーニングが重視されていたが,筋肉を鍛えるだけでは競技パフォーマンスの向上に限界があると考えられていた.そこで各競技の専門的な動きに注目し筋力トレーニングと並んで動作技術を重視するようになり,筋力を効率よくパフォーマンスに結びつけるには動きを重視すべきではないのか,筋力を生かすトレーニングや競技専門の技術に結びつけるトレーニングがあるのではないかと考えられるようになった.そうした背景の下SAQトレーニングが考案された.〜中略〜ラダートレーニングとは,梯子状の縄を置き,マス目に従いある一定の動きで素早く身体を動かすトレーニングである.神経系のトレーニングであり,脳から神経を伝い筋肉に刺激が伝達されるまでの伝達速度を上げることによって反応を早くすることを狙いとしている

『大学生バスケットボール選手の敏捷性能力に及ぼすラダートレーニングの効果: 有効性とトレーニング期間に関する検討』島根大学教育学部紀要 (自然科学),2009

つまり、神経系トレーニングとは、脳からの命令を神経を通じて筋肉に伝えるまでのスピードを高めるトレーニングなのです。

神経と筋肉の関係(メカニズム)

スポーツで体を動かす際に、私たちは無意識に複雑な動作を素早くこなしています。飛んできたボールを蹴り返す。相手の動きに合わせてパンチを繰り出す。ボールをキャッチして投げ返す。これらの動きは、神経に刺激が伝わり、脳が体を動かす指示を出し、その指示が神経を通じて筋肉に伝わることで生じます。

また、着地と同時に素早く再びジャンプするためには、着地時に伸びた筋肉が伸張反射で再び収縮。収縮することで腱にパワーが充填されてジャンプします。こうした筋肉の収縮・伸張速度を向上させるのが神経です。

このように、体の動きは神経がコントールしているからこそ、神経にどんどん新しい刺激を与えることで、神経の伝達スピードが向上し、より早く体を動かせるようになるのです。

神経系トレーニングによるパフォーマンス改善効果

動作スピードの向上

プロの料理人が野菜を刻むスピードが速いのは、繰り返し包丁を動かす動作を行うことで、動きに慣れ、より速く手を動かせるようになっているからです。普段右手で包丁を使っている人が、左手で包丁を使うと動きがぎこちなくなるように、普段から刺激を与えられていない神経を通じて体を動かそうとしても、動きのスピードも正確性は期待できません。

神経系トレーニングは同じ動作を繰り返し行うことで神経に刺激を与え、神経の発達を促し、信号を伝達する神経を太くさせるトレーニングです。その結果、神経が発達し、伝達スピードが速くなれば、スポーツでも動作をより速く向上させることができるのです。

筋収縮速度の向上

また、神経系トレーニングにより筋肉が収縮・伸張するスピードが速くなれば、サッカーやバスケットなどのターンのような動作もより速くなり、敏捷性(アジリティ)が向上します。

アスリートの中にも反射神経がいいといわれる選手がいます。反射神経という神経はありませんが、反射神経と一般的に言われる反応スピードは神経伝達速度と筋収縮速度が関わっています。神経伝達速度はトレーニングで鍛えられるものというよりも集中力などに左右されます。一方で、筋収縮速度は神経系トレーニングで鍛えることができます。

神経系トレーニングの方法

それでは、神経系トレーニングの具体的な方法を事例とともに紹介しましょう。

ラダートレーニング

バスケットボールなど球技系のスポーツで用いられているラダートレーニングは、縄梯子の上をステップを踏みながら移動するトレーニングです。SAQトレーニングの一つで、ステップの種類もいろいろあります。

クロスオーバー

      縄梯子の手前外から両足を揃えてスタンバイ
      縄梯子の端を使って足を交互にクロスさせて走り抜ける

ジグザグシャッフル

      縄梯子の手前のマスから両足を揃えてスタンバイ
      左足をマスの外に出す
      左足を2つ目のマスに入れ、右足を2つ目のマスに入れる
      右足をマスの外に出す
      右足を3つ目のマスに入れ、左足を3つ目のマスに入れる

この他にも、ツイストジャンプやインアウトシャッフル、フントバックシャッフル、アジリティーシャッフルなどのステップ方法があります[1]

[1]参照『10週間に及ぶラダートレーニングが一般男子大学生の敏捷性に及ぼす影響』東京工芸大学工学部紀要, 2011

神経系トレーニングは低年齢で行うのがいい!?

体の動きを支配する神経は、身体機能の中でも筋肉や骨格などの発達より先に発達します。そのため、神経系を鍛えるためには低年齢でのトレーニング他効果があると言われています。有名なスキャモンの発達・発育曲線によれば、7〜8歳で成人の90パーセント程度の神経系の発達が完成されるといわれています。[2]

[2]参照『サッカーフィットネスの科学 : 科学的分析に基づいたトレーニング』大橋二郎 ほか,東京電機大学出版局,1998

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